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相続税と贈与税の違い

  • 文責:所長 税理士 岡田大
  • 最終更新日:2025年5月8日

1 相続税と贈与税

相続税と贈与税は、どちらも財産の移転に課される税金といえます。

しかし、課税のタイミングや方法、適用される規定、特例が大きく異なります。

これらの違いを理解することは、適切な税務対策を行い、税負担を軽減するために重要となります。

以下では、相続税と贈与税の違いを詳しく解説します。

2 課税されるタイミングの違い

相続税は、被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、その相続財産を相続人が受け取る場合に課される税金です。

具体的には、死亡した日(相続開始日)を基準として、その時点で所有していた財産が課税対象になります。

法定相続人の人数から、相続財産全体にかかる相続税を算出し、遺言書や分割協議に基づき、相続する相続財産額に応じて税金が計算されます。

贈与税は、生前に財産を他人(多くの場合は親族)に無償で譲渡した場合に課される税金です。

贈与が成立した年の1月1日から12月31日までの間に受け取った財産を基に計算され、翌年に申告・納付する必要があります。

なお、死亡の際の財産移転に相続税が課されるのであれば、生前に財産移転をすれば相続税を回避することができるのではないかと考える人も出てくるため、生前の財産移転にも税金を課すということから、贈与税は相続税を補完する税金だと言われています。

法律上も贈与税法という法律はなく、相続税法の中に贈与税の規定があることからも、相続税と贈与税は異なる税金ではあるものの密接な関係がある税金であることは明らかです。

3 課税対象となる財産の違い

相続税の課税対象となる財産には、被相続人が死亡時に所有していた財産全てが含まれます。

具体的には、現金、預貯金、家屋・土地などの不動産、株式・投資信託などの有価証券、車両・貴金属・宝石・美術品などの動産、死亡保険金(一定の非課税枠あり)、借地権や営業権といった無形の財産、死亡直前に贈与された財産(死亡前3年から7年以内の贈与で、贈与時期によりどこまで遡るかが変わります)が、相続税の課税対象に含まれる場合があります。

贈与税の課税対象は、贈与により取得した財産のみです。

贈与者が所有していた財産の中で、受贈者に渡された分だけが課税対象となります。

対象財産は相続税とほぼ同じです。

4 基礎控除額の違い

相続税には基礎控除があり、この範囲内の財産については課税されません。

基礎控除額は3000万円(600万円×法定相続人の数)という計算式から算出されます。

例えば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4800万円となります。

この基礎控除額を超える財産に対して相続税が課されます。

贈与税にも基礎控除がありますが、金額は年間110万円です。

このため、贈与者から1年間に受け取った財産が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。

贈与税の基礎控除額は相続税と比べて非常に少額といえます。

5 税率の違い

基礎控除額からすると相続税のほうが有利なようにも思えますが、税率の違いがあるため一概に有利とは言えません。

相続税の税率は累進課税で、取得した財産の金額に応じて10%から55%まで段階的に上昇します。

基礎控除額を超えた部分に対して課税され、取得財産の大きさに応じて負担が増します。

贈与税も累進課税が適用されますが、税率の体系が異なります。

直系尊属(親や祖父母)から18歳以上の子や孫に対する贈与には特別税率が適用され、10%から55%の間で課税されます。

その他の贈与の場合には一般税率が適用され、同じく10%から55%の累進課税ですが、金額によって特別税率と同じ税率かより高い税率となります。

6 特例や控除の違い

相続税には、税金の負担を軽減するための特例がいくつかあります。

具体的には、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、未成年者控除・障害者控除等です。

小規模宅地等の特例は、自宅や事業用地等、要件に該当する土地の評価額を最大80%減額する制度です。

配偶者の税額軽減は、配偶者が相続する財産については、1億6000万円または法定相続分まで相続税がかからない制度です。

未成年者控除・障害者控除は、未成年や障害者の相続人に一定額の控除が適用される制度です。

贈与税にも特例があります。

相続時精算課税制度は、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与について、2500万円まで非課税で贈与できる制度です。

ただし、相続時に贈与額分を相続財産に加算して計算します。

住宅取得等資金の非課税制度は、親や祖父母から贈与を受けて住宅購入に充てる場合、一定額まで非課税となる特例です。

7 相続税と贈与税の違い

相続税と贈与税は、財産移転に課される税金という点では共通していますが、

上記のように、課税のタイミングや対象、税率、特例などに違いがあります。

これらの違いを理解することで、財産をスムーズかつ効率的に次世代へ移転することが可能です。

税理士の助言を受けながら、自身の状況に最適な方法を選択することをおすすめします。

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